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『気のいい火山弾』の絵本

 宮沢賢治の『気のいい火山弾』が好き、という話を以前に書きましたが、この童話の絵本があったので取り寄せてみました。

 本文は全て旧仮名遣いで書かれており、たなかよしかず氏による版画が添えられています。どちらかというと、子供向けというよりも大人向けの絵本かもしれません。ほんわかとして、しかしユーモラスな版画が、賢治の描いたイーハトーヴの世界へと誘います。

 表紙にもなっている四人の地質学者の画も楽しいですが、背表紙には、おそらく帝大に運ばれたのちのベゴ石と思われる画が載せられていて、少しだけ心が和む気がします。
 また、文章の区切りも考えられていて、「ベゴ石」が歌を作るところでは最初の一行目で改頁。私が心を動かされる「苔はむしられて…」のくだりは、たった三行目にして改頁が入ります。

 ところで、印刷されたものではないですが、ネット上で水彩画による『気のいい火山弾』の紙芝居もみつけました。最後の画が、まさに「青い青い向ふの野原の方へ」向かってゆく荷馬車ですし、「黒助どんどん」と歌いながら踊る苔の画も可愛いです。この紙芝居も、とても気に入りました。

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