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京都のお寺探訪(本能寺から新京極界隈)

 今週は本当は、先週の法住寺のつづきで、養源院の血天井を見に行く積もりだったのですが、鳩居堂で買い物をしたくなったので、急遽方針転換で本能寺から四条の方に歩くことにしました。

 京都のお気に入りのお店のひとつは、寺町にある「鳩居堂」です。伝統的な文具(文房四宝)やお香などを扱っている老舗で、私のお香(というよりもお線香)遍歴が始まるきっかけともなったお店のひとつです。京女に通っている期間はいつも、この鳩居堂に時々立ち寄るのですが、今日は今年度になってから初めての訪問。香炉の灰などを求めてきました。

 この鳩居堂の斜向かいには、本能寺というお寺があります。

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 有名な「本能寺の変」の舞台となった寺ですが、当時の本能寺は現在の位置ではなく、本能寺の変の数年後に豊臣秀吉によって現在の場所に移転されたのだそう。その後も、何度か火災などで破壊されて仕舞ったため、現在の本堂は近代になってから再建されたものです。

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 工事中の柵が邪魔していますが、本堂の裏には信長公の廟所があります。自害したという信長公の遺体の行方ははっきりしていないようだし、それ以前にこの場所は本能寺の変があった場所でもないから、本当に信長公の墓であるかどうかは疑わしいと思います。実際、ここ以外にも何カ所かに「織田信長の墓」は存在するようです。しかし、本能寺の知名度の高さも手伝って、京都観光のついでに立ち寄ったと思われる、学生ぐらいの若い人たちが次々と訪れていました。

 本能寺を出てからは、寺町通りを南下して、法性寺と矢田寺(両方とも御朱印を頂く事ができません)の前をすぎ、三条と交わるところから新京極の通りに入りました。このあたりは何度か通りましたが、誓願寺と蛸薬師堂ぐらいにしか行ったときがありませんでした。それ以外にも、小さいお寺が商店街の中にひっそりと佇んでいて、今日はそれらのお寺を回ることにしました。

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 最初に寄ったのは、和泉式部のお墓が有る誠心院です。北の方から歩いてくると、最初に目に入るのは和泉式部の墓と伝えられる宝篋印塔です。和泉式部は小倉百人一首にも出て来ます。

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな

 個人的にはむしろ、娘の小式部内侍が詠んで、やはり小倉百人一首に選ばれている、

大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立

の方が好きなのですが。

 このお墓から、墓地の中を抜けると誠心院の本堂の横に出られます。本堂は周囲の建物の谷間にひっそりと建っている感じです。御朱印は本堂裏手の庫裏で頂く事ができます。

 本当は、お寺に入るときは山門から入った方が良いのかも知れませんが、墓地から入ってきたために、誠心院の山門をくぐったのはお寺を出るときでした。商店街のお店とお店の間にぴったりとはまるように建つ、小さな山門でした。

 次に寄ったお寺は、蛸薬師の近くにある寅薬師(西光寺)だったのですが、丁度法事中の真っ最中で、お詣りどころではありませんでした。ですので、今日はパス。

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 続いて立ち寄ったのが「倒蓮華寺」とも呼ばれる安養寺です。アパートのような鉄筋コンクリートの建物で、何処が本堂なのかと思ったら、階段を上った二階に有りました。ご本尊様の阿彌陀如来が乗っている蓮の花(蓮華座)が上下逆の意匠になっているので、「倒蓮華寺」という別名で呼ばれているのだそうですが、戸締まりされていて、ご本尊を直接拝むことはできませんでした。

 御朱印は、一階の奥に有る庫裏で頂く事ができました。御朱印を書いていただく間の、お寺の方との雑談で、岡山から京女に教えに来ているという話になったのですが、いつの間にか浄土真宗のお坊さんと勘違いされていました。

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 さいごに寄ったお寺は「くさがみ」と呼ばれる善長寺。このお寺も一間ぐらいしかない入り口から入って行くのですが、奥まったところに有るお堂は、古びた小さな建物です。「くさ」って何?と思ったら、「瘡」つまり湿疹のことで、皮膚病の治癒に御利益のあるお寺という事のようです。お寺の横の庫裏で御朱印を頂く事ができます。

 新京極は観光客が溢れかえっていますが、そこから一歩山門をくぐったところにある、こうした小さなお寺は、観光客が押し寄せるわけでもなく、むしろ地元の方々の信仰心によって支えられているという雰囲気です。御朱印をお願いすると「ようこそお詣りくださいました」と、どのお寺でも(御朱印を頂けないお寺は別して)声を掛けてくださったのでした。

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