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龍泉寺の御瀧祭り

 さいきん足繁く(?)通っている最上稲荷妙教寺の裏山、龍王山の山中には龍泉寺というお寺があります。このお寺は昨冬に一度だけ、最上稲荷から山道を登って行った時がありました。

 毎年七月の第三日曜日には、「御瀧祭り」というお祭りが執り行われるそうで、それに合わせてお詣りすることになりました。…といっても、今回は家内と二人なので山道はパス。吉備線の足守駅から車を手配しました。

ファイル 20110724_ryusenji-otakimaturi.jpg 小雨交じりの天候でしたが、山の中腹にある境内に入ると、既に多くの参詣者たちでいっぱいでした。受付でご祈祷の申し込みをしたら、福引券を頂き、お昼の接待(お弁当)もどうぞと案内をして下さいました。

 本堂の横では、法要が始まるまでの間、地元の人たちによる太鼓の演奏も披露されていました。

 本堂には初めて上がったのですが、最上稲荷と同様、神仏習合の名残を色濃く残していると思われる、神社に近いもので、本堂の部分は神社でいえば拝殿、その奥に御本尊が祀られている小さな本殿が配されている形式です。とはいえ、法要自体は一般的な日蓮宗の形式と同じもののように思われました。

ファイル 20110724_ryusenji-otakimaturi-2.jpg そんなわけで、この龍泉寺の宗派は「日蓮宗最上教」とされているのですが、実態はおそらく、ふつうの日蓮宗のお寺と思われます(あまり日蓮宗に明るくないので、間違っていたらすいません)。

 ひとしきり本堂での法要が終わった後、白衣姿の信者の方々に担がれたお神輿や山車などが動き出し、僧侶や参詣者たちはそれに続きます。広い境内を一周するのですが、途中の龍王池では魚を池に放つ「放生」も行われました。

ファイル 20110724_ryusenji-otakimaturi-3.jpg さて、このお寺には、お祭りの名前にもなっているように「御瀧」という滝、というか、水行をするため荒行場のような場所が設えてあり、普段からこの場所で滝に打たれて水行をする信者の方々も多く居られるようです。

 境内から一段下がった谷間のようなところにあるこの御瀧ですが、周囲を御題目が刻まれた石碑に取り囲まれています。同じような荒行場でも、いわゆる密教系のところだとかなり鬼気迫るものもあるのですが、日蓮宗系ということも手伝ってか、むしろ明るく健康的な印象すら漂っている気がしました。私は神道にも同様の「明るさ」を感じます。

 神道ど仏教の神仏習合は、ともすれば密教系仏教が注目されがちな気がします。たしかに密教は、いろいろな意味で混沌とした観がありますから、全く別の宗教である神道と習合しやすいと云うのはわかるんですが、むしろ、そうした混沌を排したともいえる日蓮系仏教のほうが、神道の持つある意味シンプルで実直な在り方と親和性が高いのかな、と思ったりもしました。

 あと、ちょっと面白いと思ったのは、行列の中に「法螺貝」を吹く人が混じっていたことでした。法螺貝と云うと、山伏など密教系の行者さんを思い浮かべるんですが、日蓮系の仏教でも用いられることもあるんですね。

 さて、境内を一周したお神輿が向かう先は、この御瀧です。御瀧前の小さな広場に行列が到着すると、お経が唱えられる中、お神輿の屋根が取り外されます。このお神輿には、お題目と願い事が書かれた白い紙が竹串に留められてびっしりと、載せられています。これらは、参詣者や全国の信者たちから寄せられたもののようです。

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 屋根を取り外されたお神輿(二基)は、そのまま御瀧の中へと入ってゆきます。はじめは水流の周りをぐるぐると回っていたのですが、螺旋を切るように、徐々に滝の中心部へと近づいてゆきます。

 これがこのお祭りの目玉で、お神輿が滝の中に入ってゆくと、びっしりと載せられた白い紙が水流に洗われ、解けてゆきます。こうして、願い事や厄災を水に流すという事のようです。

 勇壮ながらも、たいへんに爽やかなお祭りであり、是非また来年もお詣りしてみたいと思いました(岡山に居れば…ですが)。

 帰り道は再び最上稲荷に戻り、宿坊の「顕妙閣」でお食事。予約が必要ですが、月替わりの精進料理を頂くことができます。今月は土用に因んで、ウナギの蒲焼もどきでした。

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