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雨奇晴好

 ついこの間桜が咲いたと思ったら、春の季節はすっ飛ばして、はやくも夏になったという感じです。毎週火曜日は京女での授業で京都に行くのですが、激しい蒸し暑さに往生しました。(;´Д`)

 授業が終わってから、洛陽三十三所巡礼のうち、六波羅蜜寺・長楽寺・仲源寺と回ってきました。

 授業中は立ち通しなので、六波羅蜜寺では本堂に上がり、ご本尊の前に座って一休み。観光客も多く訪れるお寺ですが、天気が悪いためか、参拝客はほとんど居ませんでした。

 再び雨の中を歩き出して、円山公園の横の坂道を登っていくと、長楽寺です。坂道を登っていく途中、雨と暑さで汗びっしょりになりましたが、鬱そうとした東山の山あいに続く参道はいかにも涼しげで、石段には沢ガニも何匹か這っていました。

 ファイル 20110510_ukiseikou.jpg ファイル 20110510_ukiseikou-2.jpg

 …ピンぼけな写真しか撮れませんでしたので、小解像度の画像だけ。(´・ω・`)

 あまり観光地という感じのお寺ではなくて、かなり寂れた雰囲気なのですが、薄暗い雨煙が何ともしっとりとした風情を醸し出していました。雨の中を歩いてきた甲斐がありました。雨もまたよし。

 紅葉の季節も良さそうです。

 最後に祇園に下って、仲源寺に立ち寄りました。祇園の街中にある小さなお寺ですが、ご本尊の大きなお地蔵様(眼疾に御利益があるという「目やみ地蔵」さん)が居られます。そして、観音堂には千手観音座像が祀られています。重文でもあるこの観音像もかなり大きなもので、すぐ近くで拝むとたいへんな存在感があります。

 仲源寺はよく通る場所ということもあって、今までにも何回かお詣りしたのですが、書き置きの御朱印だったり、受付の方が不在であったりと、なかなか御朱印を書いて頂ける機会がありませんでしたが、今回はやっと直接、御朱印を頂く事ができました。

 このお寺の山門には「雨奇晴好」という扁額が掲げられています。もともとは洪水除けを祈願した「雨やみ地蔵」と呼ばれ、また、八坂神社などへの参詣者がにわか雨に遭ったときは、ここで雨宿りをしたとも云われているそうです。あるとき、このお地蔵さんに帰依していた人が眼病になったが、夢に現れたお地蔵様が病を癒し、「あめやみ(雨止)地蔵」が「めやみ(眼疾)地蔵」になったとのこと。受付で頂いたお寺の縁起によれば:

人生の激しい風雨に遭いこの地蔵尊の下に額づけば、人生は「雨奇晴好」だ。「降るもよし、晴るるもよし」だ。悲運、逆境にひしがれていては駄目だ。研究努力によって、これを克服し、これを生かして、「日々是れ好日」と受け取って、順逆共にとらわれず、行き詰らない、人生を生き抜く地蔵菩薩の尊いお力を頂くのです。そして、自由自在の活躍をすべく、元気よく門を出て行こうではありませんか。そこで、お帰りぎわに今一度、表門の額を仰いで頂きたい。「雨奇晴好」これが仏教の悟りであります。

 この小さなお寺の中に、何とも味わい深い教えが詰まっているのでした。そういえば、こちらの観音様の御利益のひとつが「仲違いした二人の仲を取り持つ」なのですが、その理由もおそらく、ここにあるのですね。

 岡山までの帰り道もずっと雨でしたが、雨もまたよし。(-人-)合掌

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