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錦松梅

 きょう、たまたま「錦松梅」が話題に上ったとき、子供の頃の記憶が走馬燈のようによみがえりました。

 錦松梅というのはちょっと高級な佃煮のふりかけです。有田焼などの容器に入れられていて、贈り物などにも使われたりします。

錦松梅 有田焼容器入

錦松梅 有田焼容器入
価格:5,250円(税込、送料別)

 初めてこのふりかけを知ったのは、多分四歳とか五歳の頃だと思います。当時は祖父母が健在で、保育園から帰ってきたら、両親が仕事から帰ってくるまでの間、同じ敷地の中にあった「おじいちゃんち」で過ごしていました。

 あるとき、この「錦松梅」が贈り物か何かで届きました。今は販売されていないらしいタイプの容器(洋ナシを鉛直方向に扁平にしたような形)に入っていて、これは「キンショウバイ」というんだよ、と教えてもらったのを覚えています。もちろん、子供心には「キンショウバイって何それおいしいの?」でしたが(実際おいしい)。
 それと同時に、このふりかけには「松の実」が入っているんですが、「これが松の実だよ」と教えてもらって、初めて松の実が食べられるという事を、錦松梅を通して知りました。庭の松の木の松ぼっくりから、ナントカして松の実を収穫したいと騒いで、祖父を困らせたような記憶があります。

 しばらくして、全部食べてしまった後、この容器は「アメ玉入れ」に転用されていました。
 当時は、「梅酒キャンディー」がうちでの人気商品でした。今でも売られている「小梅」ではなくて、たしか毛筆体で「梅酒キャンディー」と書かれた袋に入れられていたと思います。アメ玉一つ一つは、ちょうど「カンロ飴」のような感じに、ねじりビニールで包まれていました。ですので、しばらく置いておくと湿気ってしまってベタベタになってしまいました(因みに、うちではカンロ飴は不人気で、いつも売れ残っていました)。

 容器に入れられた飴は、たぶん昭和三十年代の旧い建築だった「おじいちゃんち」の、台所兼食堂にある茶箪笥に仕舞われていました。その茶箪笥を開くと、梅酒キャンディーの甘酸っぱい香りが漂ってきて、それは今でもハッキリと脳裏に残っています。
 保育園(あるいは小学校?)から帰宅してから、この容器に入れられた「梅酒キャンディー」を取り出して食べるのが、ひとつの楽しみでした。

 なんで「梅酒」かというと、祖母が毎年、趣味で梅酒を漬けていた事もあり、うちではみんなが梅酒好きだった為だろうと思います。初夏の梅酒を漬ける時期になると、祖母がどこからかり出してきた広口瓶に梅と氷砂糖と焼酎を入れてつけ込み、何日かに一回「こうやってかき混ぜるんだよ」と瓶を回しながら作り方を教えてもらいました。出来上がった梅酒は一升瓶に移され、キャンディーと同じ茶箪笥の下段右端に仕舞われていました。

 そんなわけで、この「錦松梅」は梅酒キャンディーとセットになって、心の中の茶箪笥に仕舞われているのです。その数年後には、この「おじいちゃんち」(同じ敷地にあった、両親と一緒に住んでいた家も)は東北新幹線の建設によって接収され、茶箪笥は梅酒キャンディー入り錦松梅容器とともに、永久に葬り去られてしまいましたが。

 まるで、昨日のことのように覚えているのですが、「錦松梅」をきっかけに思い起こした三十年前の話ですた。( ´ー`)

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