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京都のお寺探訪(方広寺・法住寺)

 先々週に行ってみたけれども、拝観時間が終わってしまっていたため引き返してきた方広寺に行ってきました。

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 七条から方広寺の方に向かう道すがら、豊国神社の前あたりの溝に、カメさんが這っていました。たぶん、イシガメだと思うのですが、近所から逃げ出してきたものが野生化して、溝の中で暮らしているのかも知れません。誰かが餌付けしている可能性もありますが、こんなところでどうやって生活しているのでしょう?

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 方広寺は天台宗で、豊臣秀吉によって建てられた大仏(奈良の大仏よりも大きいものだった)が有ったお寺ですが、地震や戦乱などで大仏は破壊されてしまい、いまは残っていません。お寺自体もあまり観光客が訪れないようで、ひっそりとした、鄙びた雰囲気です。

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 豊臣家滅亡の原因となった梵鐘は境内の入り口にあります。受付で100円払うと囲いの中にも入れてもらえるようですが、今回は外から眺めるだけにしました。「国家安康」「君臣豊楽」の銘文の部分は、白い印がつけられています。

 鐘楼はパスしましたが、本堂の内部は拝観してきました。受付で200円払うと、堂守のおばあさんが案内をしてくださいました。

 長屋のように間口が広い建物で、正面に向かって右側の部屋には大黒様が祀られています。大小二体の大黒像のうち、大きい方は最澄の手によるもの、小さい方は大きい像をモデルにして秀吉が造らせていつも身近に置いていた持仏だそうです。打出の小槌の代わりに武器を持ち甲冑を着て武装していること、表情が険しいこと、俵ではなくて臼の上に乗っていることなど、通常の大黒像とは異なる点が多々あり、そういうところが秀吉の気に入ったのだとか。

 これらの仏像はお堂の奥の方、内陣に安置してあるのですが、中はかなり薄暗いです。「(燭台の脇に)懐中電燈が置いてありますから、どうぞ照らしてご覧下さい」と気遣って下さいました。

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 向かって左側には、本尊の毘盧遮那仏が祀られた本堂があります。また、かつて存在していた大仏像の一部なども展示されています。訪れたときは、お客は私一人だったのですが、案内して下さったおばあさんは、長い時間をかけて説明をしてくださいました。

 方広寺から再び七条に戻り、三十三間堂はパスして、血天井の養源院も来週に回して、法住寺というお寺に寄りました。ここのお寺も観光地的ではなく、となりの三十三間堂とは対照的に静かな雰囲気ですが、拝観を申し出ると、お寺の奥さん(たぶん)が出てきて、案内をしてくれました。

 このお寺は後白河上皇に縁のあるお寺で、すぐ裏には後白河上皇陵もあるのですが、寺の建物自体は最近に建てられたもので、歴史的なものではないようです。ただですね、いつも京女に向かうバスの窓から見ていて気になっていたのですが、このお寺の看板に「親鸞聖人そばくい御影」ということが書かれていて、そばくいって何?と、ずっと気になっていたんです。

 親鸞というから浄土真宗かと思ったら、実際には天台宗の寺で、ご本尊は不動明王です。本尊というと菩薩や如来ばかりかと思っていたのですが、王でも本尊になれるんですねえ。そのご本尊は「身代わり不動」と呼ばれ、その霊験にあやかろうとした討ち入り前の大石内蔵助がお詣りに来たのだそうです。由来は定かでないそうですが、討ち入りの後に奉納されたという、四十七士の木像が雛壇に並べられていました。

 本堂の隣は阿彌陀堂で、こちらに親鸞聖人の「そばくい御影(像)」も安置されていました。叡山修行中の親鸞が、既存の仏教に疑問を抱きはじめ、山を抜け出して京の六角堂に籠もっていたとき、その身代わりとなって置かれていたのが「そばくい御影」の木像なのだそうです。「そばくい」というのは、留守の間に振る舞われた蕎麦を木像が代わりに食べ、まるで親鸞がそこに居るかのように留守番をしていたという伝説に因んでいます。

 うちは真言宗(智山派)ですが、最近はわりと浄土真宗に関心を寄せるようになっていることもあって、それもあってあれこれ質問したら、「浄土真宗の関係の方ですか?」と、逆に訊き返されました。京女(浄土真宗本願寺派)で働いているので、全く無関係ではないですが…。

 因みにこのお寺、御朱印は「ご本尊」「親鸞御影」「赤穂浪士」の三種類があるのですが、赤穂浪士の御朱印というのも微妙な気がしたので、前二者の御朱印を頂いてきました。これで、手持ちの御朱印帳がいっぱいになったため、すぐ近くの智積院(真言宗智山派の本山)に寄って、新しい朱印帳も求めてきました。

 観光地になっているような壮大な伽藍もいいですが、じっくりと説明に耳を傾けることのできる小さなお寺もまた、捨てがたいものです。来週は、今日行きそびれた養源院と、中学生の頃に一度行ったきりの三十三間堂にでも行ってみようかとおもうます。。

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