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クレンペラーのフィガロ

 モーツアルトの「フィガロの結婚」は大好きな歌劇の一つで、手許の演奏の中ではエーリッヒ・クライバーがウイーン・フィルを指揮したものを最も好みます。本当は、1963年にカール・ベームが来日したときの録音を聴きたいのですが、相当に入手困難のようです。

 さいきん、家にあるCDをデジタル化しようと思って、一寸ずつエンコードしているのですが、その作業をしながら、富山から引っ越したとき以来仕舞い込まれたままになっていたCDを久々に聴いています。そんな中に、オットー・クレンペラーが指揮した「フィガロ」がありました。

 多くの演奏と較べると、たいへんに遅いテンポの演奏で、例えば、第一幕のドン・バルトロのアリア「復讐じゃ! ああ、復讐とは」などは、出だしから前につんのめりそうなぐらい遅く感じました。

 しかし、遅いと云っても単に鈍重ではないところがクレンペラーの良いところで、表面的には格調が高いようでいながら、登場人物の感情に合わせて千変万化に移ろう音色の変化といい、隅々までに行き渡る活き活きとした表現力といい、もう背筋がゾクゾクするように官能的な演奏に思えます。

 あと、世評通りレリ・グリストが唱うスザンナは滅茶苦茶可愛いと思います。

 とはいえ、このCDも既に廃盤になってしまったようで、今となっては入手困難になってしまったようで、ヤフオクか何かで探すしかなさそうです。

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