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初夏の吉備路を最上稻荷へ(その二)

 さて、最上稻荷に来た時にはいつも、本殿に上がってお詣りすることにしています。最上稻荷のサイトにも、その事が説明されているのですが、以前から気になっていたのが:

参拝者の祈願成就のために、毎日定時に本殿(行事で使用できない場合は旧本殿)にて祈祷が行われます。祈祷受付でお申込みください。

というところの、「行事で使用できない場合は旧本殿」の一文。

 壮大な新本殿もそれはそれで良いんですが、歴史的な建造物である旧本殿に上ることが出来る(かもしれない)となると、何時だったらそういう貴重な機会が得られるのか、激しく気になります。

 ファイル 20110702_saizyoinari2.jpg

 そこで、受付の人に「どういう(行事がある)時に、旧本殿でのご祈祷が受けられるのか」ということを訊いてみたところ…どうやら、特に何かの行事がなくても、受付に「和尚」さんさえ居れば旧本殿でのご祈祷は常時可能ということがわかりました。

 そういうわけで、旧本殿でのご祈祷決定。電話で「和尚」さんが居られることを確認してもらい、旧本殿に向かいました。受付では「和尚」さんとおぼしき方が、震える手で申込書を確認して下さいました。

 旧本殿は江戸時代の建造物で、神仏習合の様式を色濃く残した建物です。通常の神社と同様、拝殿の奧に本殿が祀られているという形式です。しかし、拝殿の手前にはひさし状の長い屋根がつけられているのは、他ではあまり見られないようです。

 ファイル 20110702_saizyoinari2-2.jpg ファイル 20110702_saizyoinari2-3.jpg

 指定された時間になったら、「和尚」さんが袈裟を纏って出てきて、拝殿(上の二枚の画像中央の、一段高い部屋)に上がるようにと教えてくれました。拝殿自体は小さな建物ですが、長い歴史を経た空気が張り詰めていました。「和尚」さんが震える手でろうそくの火を点け、お線香を立てました。

 最上稻荷でご祈祷を受けると、通常は新しい方の本殿で七人がかりぐらいでお経を上げてもらう事ができて(日蓮宗独特の修法ともども)、それはそれで結構な迫力なんですが、こちらの旧本殿では「和尚」さん一人のの消え入りそうな読経の声で始まりました。

 ところがです。いつもなら十五分ぐらいで終わってしまうのに、三十五分にもわたって丁寧にご祈祷を行っていただき、ここぞというところでは年季の入った老僧の、心の底から絞り出すような声が神々しさすら感じさせるものがありました。

 ファイル 20110702_saizyoinari2-4.jpg

 一通りのご祈祷が終わった後は拝殿の外に導かれ、拝殿の背後に控える本殿(上の画像の右側が拝殿、一段高くなっている左奥の建物が本殿で、縁側伝いに本殿に進むことができる)の、最上様の像にお詣りすることができました。ほとんどシルエットのようにしか拝むことができませんでしたが、たしかに羽衣を纏った最上様のお姿でした。たぶん、この最上位経王菩薩像が、古来から最上稻荷に伝えられている本尊の像なのではないかと思われます(間違っていたらすみません、今度行った時に訊いてみます)。

 因みに、お前立ち(?)には日蓮聖人の大曼荼羅を背景に立つ釈迦如来と思われる立像(制作年代はわりと新しい物のようです)が安置されていました(こちらの事も、また訊いてみようと思います)。

 そういうわけで、旧本殿での大変ありがたいご祈祷を受けることができて、さらに自転車に乗って良い運動にもなって(往復で40km弱程度?)、いろんな意味で充実した休日でした。( ´ー`)

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