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大超寺 [京都十二薬師霊場 第八番]

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寺院名: 大超寺
宗派: 浄土宗 
所在地: 京都府京都市左京区 

「鍬形薬師」 

 ほとんどの京都十二薬師の札所は京都市の中心部にありますが、大超寺だけは少しだけ外れた岩倉にあります。京都駅か四条河原町から出ている岩倉行きのバスに乗って、花園町というバス停で降りたところから徒歩十分ぐらい、山の斜面に開かれた住宅地の坂道を登って行くのですが、少し道がわかりにくいです。バス停の近くに住宅地図があるので、それを見てから行くのが良いかと思います。また、平日は出かけて不在のこともあるそうで、事前に電話などで予約しておくのが無難そうです。

 見晴らしの良い高台にあるお寺で、幅広い石段を登りきったところの山門からは、京都市の方角が一望できました。どの季節に来ても良さそうですが、ちょうど冬枯れが始まり、山々にうっすらと雪も積もっていて、鄙びた感じが何とも云えない雰囲気でした。

 庫裏でお願いすると、奥さんのとても楽しい解説で本堂を案内して下さいました 浄土宗のお寺ですので、御本尊は阿彌陀如来なのですが、その宮殿(仏像を収めておく場所)の、江戸期のものという彫刻が素晴らいです。

 脇壇には様々な仏像が祀られてあり、いずれも鎌倉~江戸時代のものという古いものばかりですが、まさに目の前で拝観することができました。その中に鍬形薬師如来の座像があり、決して大きな像ではないのですが珍しく金属製で、芯材は鉄、外側が青銅(?)だそうです。部分的に平安時代の造形も(継ぎ足されて?)混じっているとのこと。畑に埋まっていたところを発見され、その時にできた鍬による傷が背中にあるので「鍬形薬師」と呼ばれているのですが、現在のところこの傷は、光背に隠れて直接観ることができません。 

 驚いたことに、このお寺は「乾三十三所」の第三十三番の札所なのだそうで、石段脇にその事を示す石柱が建っています。先日にお詣りした成願寺も、「乾三十三所 第二十九番」の札所を示す標柱があって、疑問に思っていたのですが、まさかこんなところで再び話題に上るとは思ってもみませんでした。

 お寺の方の話によれば、どうもこの「乾三十三所」は過去に途絶えてしまった巡礼のようで、判明している札所も数カ所だけだそうです。記録などもほとんど残っていないか、または発見されていないとのこと。すごく気になります。

 そんな事もあって、お寺の方とはすっかり話し込んでしまいましたが、大変楽しいお詣りができました。とても有り難いご縁だと思います。十二薬師霊場は最近復興したばかりということもあってか、三十三観音などと比べると訪れる人も少ないようで、こうしたコミュニケーションのある、楽しいお詣りができる「穴場」的なお寺が多いように思います。

[京都十二薬師霊場 第八番] 
鍬形薬師 

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